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『シャッタースピード』とは
・カメラがシャッターを落とすスピードのこと
・早いシャッタースピードだと一瞬を映し出せる
・遅いシャッタースピードだと時間の流れを映し出せる
・遅いシャッタースピードの場合は三脚の使用や『手ぶれ補正』が有効
・『手振れ補正』の強さは、カメラが取り込む光の単位『段』で調べられる
撮影スタジオ代田ファクトリ―・スタッフのタカハシが、むずかしいカメラ用語を解説していきます。
今回はお話するのは、『シャッタースピード』について。カメラにおいて、時間を司っている機能です。さらに今回はスローシャッターによるブレを防止するため『手ブレ防止機能』、そして明るさの概念である『段』についてもご紹介していきます。
シャッタースピードは使い方次第で、決定的な一瞬を撮影したり、長時間の撮影にして時の流れに逆らっているように仕上げたりと、おもしろい写真が撮影できるんです!
―『シャッタースピード』とは?―
『シャッタースピード』とはその名の通り、カメラがシャッターを切るスピードのこと。
はやくせていすれば目に見えないほどの刹那を切り取ることができます。しかしシャッターを切るスピードがはやい=光をとりこめる量が少ない、となるため、写真は暗くなりがち。光の量をそのほかの設定や撮影機材、環境でカバーする必要があります。
対してシャッタースピードがおそい場合、光の軌跡や被写体の動きなど、時間を閉じ込めたような味のある写真の仕上がりに。光を取り込む量が多くなるため白飛びしやすくなる点には注意しましょう。また被写体やカメラ本体などが揺れ、ブレた写真になってしまう危険性も存在します。
なんだかイメージ通り、というか、素直というか……おそらくカメラの中では一番わかりやすい用語なのではないでしょうか?
また1/250あたりの速いシャタースピードを「高速シャッター」、1/30より遅いシャッタースピードを「低速シャッター(スローシャッター)」と呼びます。
―ブレを防ぐには? 『段』の概念―
写真のブレには被写体ブレ・動体ブレと呼ばれる映る側のブレと、カメラブレ・手ブレと呼ばれる撮影する側のブレの2種類があります。
被写体ブレ・動体ブレについては、被写体の揺れが収まるのを待つ、またはその工夫をする。カメラブレ・手振れについては三脚を使う、といった対策があげられます。
どちらのブレもシャッタースピードを速くすることで、ある程度の防止が可能。その場合はしっかりと光量を確保する工夫をしてあげましょう。
また現代のカメラの多くには、『手ブレ補正機能』が搭載されています。メーカーによってレンズ内部に機構があったり、レンズ内に機構があったり、など呼び方もさまざま。「何が何だかよくわからない」となってしまいがちです。(わからなすぎて、筆者は家電量販店でパニックになりました……)
じつはこの、各社バラバラの手ブレ補正機能、強さを比べるための指標が存在します。その指標とはずばり『段』。『段』とは、カメラが取り込む光の量のこと。
例えばカメラのシャッタースピードは、1/4から1/8になると取り込む光の量が2分の1(半分)になります。シャッタースピードにかかわらず光の量が2分の1や、2倍になることをカメラ用語では『段』で表し、先ほどシャッタースピードの例でいうと、1/4から1/8になった場合「一段下がった」となります。
手ブレ補正機能を解説する際の『段』は、シャッタースピードにおける『段』。「手ブレ補正機能1段相当」であるなら、手ブレ補正機能を使いシャタースピード1/4で撮影した場合、手ブレ補正機能を使っていない1/8のシャッタースピードで撮影するのと同じブレ防止の努力で済むのです。
この写真は手持ち・シャッタースピード1/4で撮影。筆者のカメラは5段相当の手ブレ補正機能が備わっているので、手ブレ補正機能なしの1/125で撮影したのとおなじ、という換算になります。
ちなみに先日(2020年7月30日)に発売されたcannonのフルサイズミラーレス機 EOS R5 は、レンズ・ボディの手ブレ補正をあわせて、「合計8段相当の手ブレ補正機能」を備えています。手ブレ補正機能を使いシャッタースピード1/4で撮影した場合、デフォルト1/1000のシャッタースピードで撮影しているのと同じ状態に。ぜったい手ブレしないじゃん……。
https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r5/ (cannon EOS R5 プロダクトページ)
また近年のカメラはさらに細かくシャッタースピードを設定することができ、1/4から1/8のあいだには、1/5・1/6が存在。光の量をさらに3分の1ずつ調節することが可能となっています。
イメージをカタチに 時間を収めるシャッタースピード
さてここまで解説してきたシャッタースピード。じっさいに撮影すると、それぞれどのような写真が出来上がるのでしょうか??
こちらは“HANEDA INNOVATION CITY”で撮影した、飛行機の写真。シャッタースピードは1/500でした。撮影チャンスは一瞬のため、事前にピントを決めておく“置きピン”や、連続撮影に設定しておき、「数打ちゃ当たる戦法」で撮影すると効果的です(笑)。また光の調節も忘れてはいけないポイント。『ISO感度』を上げすぎてしまうのは好ましくないため、低く設定でき融通も利く日中のほうが撮影しやすいです。
下は低速シャッターの作例。シャッタースピードを60秒に設定し、川を渡る船の電飾を撮影しました。
電飾の軌跡が線となり、時間の経過がわかる不思議な写真に仕上がります。この場合、三脚は必須。そのうえでセルフタイマーを使い操作で起こる揺れをなくすなど、できるだけブレをおさえる工夫をして撮影しましょう。また長い時間をかけて光を取り込むべく、光量を減らす目的で「NDフィルター」と呼ばれるフィルターを使用することもあります。
シャッタースピードについて考えを深めて気が付いたことは、単純すぎて気づかなかった「シャッタースピードは時間を操っている」という点。機能をしっかりと発揮すれば、画像でしかない写真でも時間を表現することができるのです。
そう考えると、今まで見逃していた写真の奥深さに圧倒されてしまいますね。
それではまた!!
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